療育が必要なお子さんのために

発達支援相談教室 HOME のブログ

どのようにことばは獲得されていくのか② 「聴くこと」

ことばをはなすようになるためには

まず、ことばをきくことができなくてはなりません。

特に意識せずあたりまえにいつも行っている「聴くこと」ですが、

人が生活していくうえで、いろいろな工夫がなされています。

 

まず、私たちは普段から音を選別して聴いています。

実際の音どおりではなく、脳のなかで

自分にとって重要な音を大きく、重要でない音は小さく聴くように

選択されているのです。

 

あまり、性能のよくない補聴器を使用すると、

「がーがー」という雑音がうるさくて

とても使いづらいと聞いたことはありませんか。

それは補聴器が、どの音も同じように大きくしてしまっているからです。

(最新の補聴器は入ってきた音を細かく分析し、さらに加工して聞きやすくしています)

 

幼児にとって、母親の声を聴くことはとても重要です。

適切に聴覚機能がはたらいている幼児の場合、

成人女性の声の周波数帯を感知し、

それ以上とそれ以下をカットしています。

 

そうすることでその周波数帯の音(母親の声)に集中することができます。

周囲の雑音に邪魔されず、母親の声を聴くことで、ことばを獲得し、

コミュニケーションの仕方を学んでいくのです。

 

発達の躓きがあるこどもの場合、この聴覚機能が適切に働いていない場合があります。

雑音となる低周波の音量が大きくなってしまい、人の声さえもかき消されてしまいます。

ことばを学ぶために必要な人の声をそもそも聴きとれていないのです。

低周波数の音は、電車、掃除機、車、ドライヤーなど生活上のあらゆる場所で聞こえてきます。普通は、これらの音は特に気になりませんが、聴覚機能が適切でない人にとっては、耐え難いほどの騒音になります。

これがが聴覚過敏と言われる状態です。

自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く (角川ソフィア文庫)

自閉症は津軽弁を話さない リターンズ コミュニケーションを育む情報の獲得・共有のメカニズム

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どのようにことばは獲得されていくのか

そもそも、こどもはどうやってことばを獲得していくのでしょうか。

会話やテレビの音は、必ずしも正しい文法ではなされているわけでもないし、

経験しうる環境は限られているにもかかわらず、その経験以上のことば、文法を獲得していきます。

不思議ですよね。このことは未だ正確なことはわかっていないのです。

 

ではまず一般的にはどのような過程をたどっていくかをみてみましょう。

 

①クーイング期

赤ちゃんははじめは整った声をだせません。

泣き声をあげるだけです。(啼泣)

そのうち、機嫌のよいときに泣き声とは異なる

「んー」「あー」「うー」などのやわらかい音をだすようになります。

この音は息を吐く時にでるともいわれています。

これをクーイングといい、この時期をクーイング期といいます。

 

喃語

その後クーイングがなくなり、今度は2つ以上の音で

「ダアアー」「アムムム」のように声をだします。

この時は唇や舌をつかって音をだしています。

 

③1語期

「ブーブー」などのような1語の語彙表出ができるようになります。

このころから、母親や父親など他者とのコミュニケーションがとれるようになってきます。

 

④2語期

「パン、ちょうだい」「くつ はいてる」

のような2語文を話すようになり、この時期を2語期といいます。

この時期はまだ「が」や「は」などの助詞は省略されています。

 

その後、助詞がつかえるようになり、3語以上のことばをつなげたり、

疑問文や否定文なども覚えていって、だんだん会話が成立するようになっていきます。

 

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自信を持つ 

少し消極的なところがあるお子さんの話です。

お友達と自分を比べてできないことがあることに気づき、できないことはなるべくやらないようにしているようです。

 

そのお子さんは視覚課題がはじめは苦手だったのですが、そのうちみるみる力をつけてどんどん課題が進んできていました。

そして、とうとう最後の課題の日です。

 

「今日は最後の課題だね。

この課題はとてもむずかしいんだよ。

先生はこの課題、ちょっと苦手なんだ。

だから先生にはできないかもしれない。」

 

私は、この視覚課題が本当に苦手です。 

 

するとそのお子さんは

「とにかくやってみればいいんだよ。」

と、どんどん始めました。

そして、

「これかなー。ちがうなー。」

しばらく試行錯誤していましたが、最後はとうとう自分の力で達成しました!

 

「すごい!〇〇くん、あきらめないでひとりでがんばったね!」

すると、その子は

「先生も、とにかくやってみればいいんだよ。」

と言いました。

 

私はお子さんによっては、自分が苦手なことがあることを正直に伝えてしまいます。

大人だって、苦手なこともあれば得意なこともあるとわかってもらうためです。

自分の得意なことが人は苦手な場合もあるし、その逆だってあります。 

完璧な人なんていないのだから。

 

 

苦手なことがあっても、いいんだよ。

とにかくやってみればいいんだよ。

もしかしたらできるかもしれないから。

 

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逆模倣 自発的な模倣をうながすために

真似することが大切なのは、よく知られていることです。

言語、社会性、身辺自立の獲得のためのカギは模倣にあります。

 

hometherapy.hatenablog.com

 

でもそもそも何もしないとなかなか模倣をしてくれないですよね。

 

そこで模倣をうながしていくのですが、

例えば「ばんざい」の動作模倣をするときは、大人がモデルを示し、その動作を手伝ってあげて、「ばんざい」の形ができたらごほうびで強化していくという方法をとることがあります。

ただ、これには少し注意が必要です。

「手伝ってあげて強化する」やりかたの場合こどもの行動は受け身になります。

機械的になってしまったり、反応を見誤ったりしてしまうと、こどもが「やらされている」感を感じてしまいます。

「楽しさ」を感じられなくなって行動や発声が固くなり、かえって逆効果になってしまう可能性があります。

 

そこでもう一つの方法として「逆模倣」があります。

逆模倣とは、こどもの行動や発声をおとながおなじようにまねていくことです。

こどもの自発行動、自然発声を大人が真似ていきます。

こどもは自分の発声にたいして、いちいち反応があるので、楽しい気持ちになります。

そしてさらに別の音もだすようになります。

そこは自分で出せる音をだすのでこどもにとって無理がありません。

また、こどもの行動や発声におとなが反応することで、こどもは自分が認められていると感じ、おとなへの信頼、愛着がうまれます。

 

そうすることで、今度はこどもが大人の真似を楽しむようになり、相互模倣ができるようになっていきます。

相互模倣は自発的な模倣になっていき、ことばの獲得の大きな第一歩となっていくのです。

 

参考文献

広範性発達障害児への応用行動分析(フリーオペラント法)

佐久間徹 

 

 

 

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ルールをおしえる

子育てでこどもに教えるべきこと。

もちろんたくさんありますが、なかでも大切なのが

「ルール」

だと私は思います。

 

「4つのペアレンティングスタイル」で言われている

「リーダーシップのある親」になるためにも

「ルール」が明快かどうかは鍵となるポイントです。

 

hometherapy.hatenablog.com

 

 

普通「ルール」をおしえるには

こどもがやってはいけないことをしたとき、「それはダメ」と

注意しながらおしえるという形をとってしまいがちです。

もちろん、それも大事なことです。

でもわるいことをしたときではない、普通のときに

「ルール」として先に教えておくことで、

こどもも素直にきくことができます。

 

でもあらためて「ルール」をおしえるって

何を?どのように?

と迷いますよね。

 

そんな時、おすすめなのが、こちら。

 

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「おやくそくえほん」

 

こどものうちに身につけてほしい、42個の「おやくそく」と

その下にすこし小さな字でかかれたわかりやすい説明。

はっきりとしたかわいい絵とともに描かれています。

 

発達の段階に応じて、覚えてほしいお約束のページをコピーし、

目にはいるところにはること。

それを見ながら、「おやくそく」の部分(大きな文字)を子供と一緒に毎日読むこと。

 

絵もわかりやすいので、視覚からも理解しながら

音としてその言葉を記憶してもらいます。

 

ちなみに私がこの本のなかでいちばんすきなのは

最後のページの「おやくそく」です。

とてもすてきな「おやくそく」で、

本当にみんながそうであってほしいと思います。

 

「じぶんを すきでいる」

あなたは あなたを すきでいよう。

りゆうなんて いらないよ。

…でも、もし

「じぶんの ことが すきか わからない」って

おもったら、

おとうさんや おかあさんに

ぎゅーっと してもらおう

 

 

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見ること、聞くこと、さわること ~感覚の連合

物が「見えている」ことについてお話したいと思います。

 

赤ちゃんの目の前で物(例えば鈴など)を動かすと、目で追います。

この時使っているのは「視覚」です。

でもこの時は、「視覚」は使っているのだけれど、「そのもの」を見ているというよりも反射的に視線が動いているといったらいいでしょうか。

 

目の網膜は2次元なのだそうです。

 

また鈴の音がきこえていたとしても、

はじめはその音が、見えている鈴からきこえてくることはわかりません。

ただ「音」が聞こえているだけです。

「聴覚」も単体で働いている状態ですね。

 

そのうち見えていたものをさわったり、なめたりして

「触覚」などの身体感覚をつかうことにより、

「視覚」「聴覚」からの情報が統合されていきます。

 

「あ、この丸くて固いツルツルしたもの(鈴)が音をだしていたんだ」

と気づくのです。

こうしてはじめて、ものが「見える」(認識する)ようになります。

 

すると、音がしたほうをみたり、

見えているものに手をのばしたり

ということができるようになっていきます。

 

「目」と「耳」の連合

「目」と「手」の連合

といいます。

 

様々な感覚が視覚と連合することによって、

網膜にうつっていた2次元の情報が3次元の世界に形づけられていくのですね。

 

手先課題や身体をつかう課題などで

感覚を刺激してあげること、とても大切です。

 

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こどもとの接し方に迷うとき PCITの4つのペアレンティングスタイル

お子さんとの接し方がよくわからないとご相談くださる方がいらっしゃいます。

そんな時、私がご紹介するのが、

「PCITから学ぶ子育て」という本です。

 

PCITとは、遊戯療法(プレイセラピー)と行動療法に基づいた心理療法ですが、その内容は子育て全般にとても役立つものです。

その中で書かれている親の養育タイプ

「4つのペアレンティングスタイル」についてご紹介します。

 

①許容的な親

このタイプは子供にやさしく、寛容であたたかみのあるかかわりをします。

ただ一方で、子供の行動を制限することが苦手です。

つまり簡単にいうと、「子供をあまやかしてしまう」ということです。

 

子供は年齢があがるにつれて、反抗的になりやすく、自己中心的な行動が増え、集団生活が苦手になる傾向があります。

 

②関係欠如的な親

子供に対して無関心、これといった要求もしなければ、関わりもあまり持たないタイプです。食事や安全面はカバーされていますが、心の育児が充分ではないのです。

 

子供は、感情のコントロール方法や社会的なルールを学ぶことができず、自分を保護するスキルを学ぶこともできません。

 

③独善的な親

ルールに厳しく、子供への要求が高いタイプです。

「教育熱心」で「しつけにきびしい」のであたたかみにかけるところがあります。

 

子供は不安を感じやすくなり、自信を失いがちです。

自尊心も低くなる傾向があります。

 

④リーダーシップがある親

家庭内でのルールが明快で、子供を一人の人間として尊重しつつ、子供の選択を応援できるタイプです。

あたたかみがあり、子供の年齢や発達に見合った、適切な要求や制限をします。

また社会を生きるうえでの必要なルールを教えています。

 

子供は親を信頼し、尊重されて育つので、自己肯定感が高まります。

ルールをきちんと学んでいるので社会的スキルも育まれていきます。

 

もちろん目指すのは④のリーダーシップのある親です。

 

子供を一人の人間として尊重すること。

子供を「HELP」するのではなく「SUPPORT」すること。

「ルール」をきちんと伝えていくこと。

 

お子さんの特性によっては、なかなかうまくいかない場合もありますが、

4つの親のタイプと子供の成長の傾向

まずは知識として知っておいて損はないと思います。

1日5分で親子関係が変わる!育児が楽になる!PCITから学ぶ子育て

 

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